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お墓について
 
 最近、御門徒の方や、その他の関係の方から、自分たちのお墓の相談を受けることが多くなりました。多くは新しいお家で、おじいさんやおばあさんが新たにご先祖様になられたが、未だお墓がないので、どうするかという相談。あるいは実は自分たちには子供がいないので、この先、仮にお墓を用意しても将来まで面倒を見てくれる後継者がいないので困っているという場合など。そのほか、お墓や自宅を改築するので、しばらくお骨や仏壇を預ってほしいという相談もあります。

 今、全国でお墓問題は深刻です。家族形態の変化、すなわち核家族化や少子高齢化によって、お墓を将来にわたって維持管理することが極めて困難な状況にあります。特に大都会では土地の高騰によってお墓を持てない家が続出しており、そのため石の墓ではなく、お寺の納骨堂におかれたキャビネット式の棚に分骨して納骨するケースも多いといいます。さらに散骨とか、樹木葬とか、行方知れずになる葬送儀礼もはやっているとか。それでもやがて来る死後における安寧の世界を確保しておきたいというのは人類発祥以来の変ることのない生命継承への悲願であり、正信偈に曰く「證知生死即涅槃」です。輪廻転生を越えた涅槃寂静の世界は仏教の世界観を特徴つけています。


 お墓を新たに造営するためには墓地が必要になることは言うまでもありません。西光寺にも新たなお申し込みが多いのですが、敷地には限りがあり、ご門徒以外にはほとんどご提供できる面積がないのが現状です。また他の霊園や墓地経営を行っている寺院でも、お墓を求めるとなると、そのための経費はかなり多額になると聞いています。またその他、墓園のお寺との複雑な諸問題が発生することもあるようです。


 西光寺は阿弥陀堂を新築した際に、ご本尊の真後にあたる箇所に納骨壇を設けました。(写真1)そこには、新しいご先祖様が発生しましたが、急なことでお墓が間に合わず、お墓をあらたに造営するまでの間、しばらくお骨を預って欲しいという場合や、お墓を建てるだけの余力がないので、その間しばらくお骨を預って欲しいという場合、さらに先述したような後継者がいないので、将来にわたってお墓を作る計画がなく、縁者がいる限り、そこの仏壇に自分たちのお骨を安置しておいて欲しいという場合もあります。この場合、そこをお墓と思って命日には西光寺にお参りにいらっしゃいます。このほか、もうすでに親戚縁者がおらず、引き取り手がないため、お預かりするケースもあります。

 さらに西光寺では墓地の一画に合葬墓を建立しました。(写真2)初めは本堂内の納骨壇に安置するが、もし長き将来に至り、本当にお参りに来ていただく縁者が絶えた時には、その合同合葬墓にお移しすることになります。しかし、今のところ、合葬墓にお納めした方はいらっしゃいません。そして、合葬墓にお納めしても決して無縁になるのではありません。あくまで西光寺の境内にあって、ご門徒としての故郷に帰ることになり、西光寺では毎年永代供養(祠堂経法会)が行われ、阿弥陀様のお浄土に帰られた各ご先祖方々の回向を行っております。6月7,8日の永代祠堂経には大勢のご門徒が参詣され、共に正信偈やお経を頂き、説法によって過去・現在・未来の因縁を説き明かしてくだされます。いくら長命になったとはいえ、命は無限ではありません。まさに後生の一大事であり、このような方向性を理解・納得されて決断される方が増えてきております。

(写真1) 阿弥陀堂 納骨壇


(写真2) 西光寺境内 合葬墓



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